2001/3/14
IT国家戦略を考える場合、他の何よりも重要なのは、日本語入力の問題です。
この文を読んで下さっているあなたは日本語をキーボードから
どう入力されていますか?
ほとんどの人は日本語をローマ字入力していますよね。
キーボードにはカナが表示されているのに、なぜ使われないのでしょう。ローマ字入力は同じ日本語を打つのにカナ入力の二倍の打鍵が必要です。ほとんどの日本人は各々の能力の半分の速度でしか日本語入力できないのです。すべての日本人がローマ字入力を止めるだけで、日本のITの入力効率は簡単に2倍以上になります。
私の娘は4歳の時にキーボードで自分の名前を入力できるようになりました。JIS配列のキーボード上のひらがなを見てキーを押します。しかし現状では、私の娘もいずれローマ字入力に改宗させられることでしょう。ローマ字入力には、学校でローマ字を教わる前の幼児や児童に対応できないという致命的な欠点があります。
では、なぜカナ入力が普及しないのでしょうか。それはJISキーボードのカナ配列が人間工学的に大変不適切だからです。現在の配列ではタッチタイピングが非常に困難なのです。しかし、日本にはもっと優れたNICOLA(日本語入力コンソーシアム)配列というのがあり、作家を中心に根強い支持があります。JISとNICOLAを比較するとその差は歴然です。また、NICOLAキーボードではローマ字入力もJIS以上に効率的にできます。JIS配列をNICOLA配列に変えても困る人はほとんどいないでしょうし、多くの人が多大な恩恵を受けます。しかし、なぜか普及していません。
4歳の子供でもキーボードに触れる現在、子供にまずはJISカナ配列を覚えさせ、それを捨てさせてローマ字入力を覚えさせるのですか? 幼稚園でローマ字を教えますか? 欧米の子供たちは4歳で覚えたキー配列を一生使えます。日本の子供たちにも、一生使える日本語キー配列(NICOLA配列)を与えるべきです。そうしないと日本のIT化は欧米に遅れるばかりです。現状では、100m競争で皆が前を向いているのに、日本人だけわざわざ後ろ向きでゴールへ走っているのと同じです。
日本のメーカー、政府は、教育の根幹に関わるキー配列の問題を真剣に考えているのでしょうか。
私は以下の政策を提言します。
・学校のコンピュータにはNICOLA配列のキーボードを備えること。
・NICOLA配列のキーボードの普及のためにメーカー、利用者の両方に対して、補助金や減税措置などをとること。
・NICOLA配列をJIS化すること(10年前くらいに、新JIS配列という使えない代物を作ったくらいですから、簡単なはずです)。
私は国家公務員、大学教員であり、NICOLA配列関連企業と何の経済的利害関係もありません。
2001/04/04追加