最近の新聞から、肝臓移植関連の記事を探してみました。日付と見出しだけを簡
単に列挙します。
87・12・18 「ユータン手術できるヨ」肝臓移植に21日豪へ
「先天性胆道閉鎖症」 木下 裕也ちゃん
88・ 1・12 「時間ない、肝臓下さい!」 臓器移植再開に望みつなぐ
兵庫の小林和也ちゃん
88・ 2・ 2 美佐ちゃん、頑張った7時間 肝臓移植無事終わる
米医師団「問題ない」
88・ 3・ 2 「岡山大助手が英国で肝臓移植」 国内手術待てず
88・ 3・ 9 「娘に肝臓移植手術を」 2歳3ヵ月 胆道閉鎖症の紗季ちゃん
同僚が募金活動に立つ
88・ 3・27 「紗季ちゃんバザー」先天性胆道閉鎖症の手術代を 東京 立川市
88・ 4・10 「正弥ちゃん急死」海外で肝臓移植の願い
88. 4・11 「肝臓移植」小さな命に幸 ユータン元気に帰国
サキちゃん旅立ち 豪州へ
88・ 4・18 来月7日、豪へ出発 肝臓移植の手術で 兵庫の和也ちゃん
88・ 4・22 「海外で肝臓移植17人」 今年に入って5人も
名古屋大学教授 高木弘氏 学会で報告
88・ 5・ 5 「甦った命を大切に」海外で肝移植の8家族
「甦った命・友の会」を発足
88・ 5・ 8 「移植再開 もう待てない」 肝障害の3幼児 相次ぎ豪州へ出発
88・ 5・14 「紗季ちゃん肝臓移植成功」豪で真夜中9時間の大手術
88・ 5・18 臓器移植で国会に請願「肝臓移植を求める患者・家族の会」
今まで海外で肝臓移植を受けた子供11人中、自費での渡航・手術が7人もいま
す。渡航先はアメリカ7,カナダ1,オーストラリア3、しかし最近はオーストラリ
アが多いようです。
記事を見渡したところでは、海外の人の脳死を前提とした臓器移植への抵抗感、
批判的論調はまったく見当りませんでした。オーストラリアの方は今のところは何人
でもいらっしゃいというムードのようです。ま、症例が増えるのは都合がいいでしょ
うから、倫理的な問題がない以上断る理由もないのでしょう。私は外国が「自国では
脳死や臓器移植を推進しないくせに外国に頼るとはけしからん」などと抗議してくれ
たらと思います。患者や家族がいくら訴えても腰の重い政府ですが、「外圧」には極
度に弱いですからね(笑)。
ここで私の考えを簡単にまとめてみます。
・肝臓移植は国内で行なわれるのが望ましい。
・止むを得ず海外で行なうのなら、全国の移植を必要とする患者が平等に手術を
受けられるようなシステムの整備を行なうべきである。
・マスコミを利用した募金などは、以下の問題があり望ましくない。
1.一過性のブームに終わる可能性があり、長期の継続は望めない。
2.すべての患者の援助にはならない。
3.患者の選択に公正さを欠く恐れがある。(子供の方が同情を集めやすい)
医学ジャーナリズムを追っていると、必ず現在の医療の抱える問題点や矛盾にぶ
つかってしまいます。胎児診断、凍結受精卵、エイズ……また気が重くなった。
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