○○さん、いつも見事な分析とご意見ありがとうございます。#42の発言を読ん
で、やはり立場によって見方に違いがあるものだなと思いました。私はその頃の報道
がそれほど臓器移植推進の方向に偏っているという印象は持っていませんでした。大
学の頃推進側の意見ばかり聞かされていたせいかもしれませんが。
・1月12日の答申について
さて、遅くなりましたが答申に対する私の感想を述べてみます。
まず決め方ですが、懇談会による「初めに結論ありき」的決定には私も批判的です。
また日本医師会の懇談会の決定をもって脳死を前提とした臓器移植の推進のお墨付き
とすることにも疑問があり、このあたりは#48の○○さんの考えとほぼ一致してい
ます。
内容についてですが、この答申を含めた脳死+臓器移植の手続き自体は大筋ではこ
んなものでよいのではという感じがします。臓器提供者本人もしくは家族の同意を原
則としていることや、脳死の判定に移植医が加わらず複数の医師により判定されると
いうことが、医者の独走による提供者の人権侵害の歯止めとして働くと期待されるか
らです。比較する例が悪いかも知れませんが、後年度負担と抱き合せでGNP1%を
突破した防衛費や売上税などに比べると反対意見や慎重な意見にある程度の配慮がさ
れていると思います。
・提供者の意志に任せてもよいのでは
最近、「尊厳死」という概念を耳にします。自分の死に方さえ選ぼうとする人々が
出てきたわけです。それを頭において臓器移植を考えると、原則的には、「もし自分
が脳死状態になったら臓器を提供したい」という本人の意志と家族の同意の両方が得
られて確実な脳死の判定さえなされれば、特に倫理委員会など開かなくとも臓器移植
を行なってかまわないのではないかと思います。またそのことに殺人だなどと第3者
が介入するのもおかしな気がします。脳死と臓器移植の問題は提供者と被移植者の問
題であり、医師はその両者を技術で橋渡しするだけでよいという考えは極端過ぎるで
しょうか(自分でも極端だなと思いつつ提起してみます)。
・主体性のないマスコミのチェックを
現状では遠くない将来に日本でも臓器移植が再開されそうな気配がします。万一そ
の第1例が成功とは言えなかった場合(命が延びても拒絶反応に苦しめられ続けたの
では成功ではないでしょう)、現在推進的論調をしている新聞などが急に反対?慎重
論者の肩を持って「我々も以前から慎重にやるべきと主張していた」などと姿勢を翻
すのではないかと心配です。
・まとめ
私はどちらかというとこれ以上臓器移植に慎重になる必要はないと感じています。
マスコミはその時々の勢いのある側の味方をするのでなく、賛成反対を問わず確固た
る信念を持って報道してほしいと思います。
意見を発表するのが苦手な PAG01172 CRES