子供に対するインフォームドコンセント

2000/10/19
子供の頃(数十年前)、珍しい病気だったために病院で実験的治療をされたり
全裸で学会会場に連れて行かれたという方の文章を読んだあとに書いたものです。
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話を読んでいて、ずっと昔の学会のことを思い出しました。
古い話なので記憶違いがあるかもしれませんが……

 9歳くらいの女の子のやけどの跡の治療のため、一卵性双生児の姉の皮膚を移植
して治ったという発表がありました。皮膚は角膜や腎臓と違って、たとえ親子兄弟
から移植しても拒絶されます。一卵性双生児間だけはその例外です。

私は質問に立ちました。
「皮膚を提供する健康な姉の同意はどう取りつけたのですか? その子に判断がで
きたのですか?」
答えはあいまいで「姉は妹のことをかわいそうに思っていたのは確かです……」と
お茶を濁していました。

 私は形成外科の医師でしたので、「手術しなければ命が危ない」などという事例
はあまりありません。私の恩師からは「3歳以上は本人の意見も聞くこと」といつ
も言われていました。親がいくら手術を希望しても、本人が「イヤ」と言えば見送
りということもときどきありました。

 インフォームドコンセントが一般的になってきたこの頃ですが、子供の意志が尊
重されているかはまだ疑問が残っていると思います。



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